「山形女性医師ネットワーク」のお知らせ

公立高畠病院の医師子育て支援制度

公立高畠病院院長 八巻通安先生より、山形女性医師ネットワークへメールをいただきました。このたび、公立高畠病院では、子育て中で休職又は非常勤等で働いている内科医師の募集を開始したそうです。正職員(公務員)として採用し、ゆとりのある勤務時間で子育てを支援する制度とのことです。
 
 〇高畠町職員として雇用。
 〇週30時間勤務(1日6時間勤務)。(部分休業扱い)
 〇土日、祝日の勤務はなし。(子育てに専念できる)
 〇宿日直勤務、夜間・休日等の緊急呼出しはなし。
 〇希望があれば随時通常勤務に復帰することができる。

公立高畠病院ホームページの医師募集へ

診療科が内科と限られてはいますが、週30時間勤務で正式職員という条件は大変すばらしい制度だと思います。子育て中の男性医師にも適応されるとのことです。ご感想があれば山形女性医師ネットワーク事務局までメールでお寄せください。


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山形女性医師ネットワーク事務局様

 前略
 私ども公立高畠病院では以下のコンセプトのもと、女性医師の育児支援制度を始めました。会員各位のご意見などいただければ大変幸いに存じます。また応募要綱につきましてはhttp://www.takahatahospital.jp/ 公立高畠病院ホームぺージをご参照いただければ幸いに存じます。
なにとぞよろしくお願いいたします。    草々
                  公立高畠病院院長 八巻通安



提言:女性医師の育児支援と地域医療の再生

           公立高畠病院院長 八巻通安


地域医療は崩壊の危機に瀕している。政府も医師確保対策に乗り出すとの報道がなされて、様々な分析が行なわれ対策が打ち出されている。しかし振り返って考えると、病院自身のほうにも考えるべき点が多いのではないかと私は思っている。勤務医師の待遇についてもう少し細やかな努力をすべきではなかったのかと。昨今の医師の労働環境は日に日に悪化しているのに、経営状況の苦しさを理由に、本来とるべき対応が後回しになってはいないだろうか? むしろ「医師の待遇」の改善をまず進めることが、現在がんばっている医師の労苦を軽減し、医師が充分働ける環境を整えることが地域医療を守ることにつながるのではないだろうか。

一方、女性医師の割合は、近く35%を超え、4割に近づく時代がやってくる。しかるに女性医師の勤務には現在なお有形無形の障害が存在する。富山医師会のアンケート調査によれば、女性医師の4人に1人は仕事と家庭の両立が困難であると答えている。女性医師の子育て支援が必須であることは疑いのないことである。
ところが、現状の対策は育児休暇の取得や、その後の職場復帰訓練といったものが多く、仕事と家庭の両立という視点が欠けていると思われる。現状の医療環境で果たして、仕事と家庭の両立が果たせるのだろうか?

私どもはそのような状況を変えるため、以下のような制度を提示した。
 〇正職員(公務員)として採用。
 〇週30時間勤務(1日6時間勤務)
 〇土日、祝日の勤務はなく、宿日直勤務、夜間・休日等の緊急呼出しは
  すべて免除。
 〇給与は勤務時間に比例し通常勤務の4分の3を支給、ただし賞与は完全支給。
 〇住居の斡旋・家賃の補助。
 〇町内保育施設の斡旋。
 〇希望があれば随時通常勤務に復帰可能。
つまり週30時間に限定した勤務でありながら、正式職員として待遇する、というのが私どものフィロソフィーだ。このことは、通常勤務医師と一体感を共有するという点でポイントと考えている。また子育て期間はおおよそ小学校在籍期間ととらえている。無論、男女機会均等であるので男女は不問で、子育て中の男性医師でもOKである。ただし私どもの体制から現在は内科のみを対象とさせていただきたい。

この制度は通常勤務の医師にとってもメリットは大きい。今までは1人で何役もこなしていたため外来診察、病棟患者の診察、往診、飛込み急患への対応になど多忙を極めていた。しかしこの制度によって別の医師がいてくれることで余裕を持った体制で診療することができる。また休暇の取得も容易となり、学会や勉強の時間も増やすことができるだろう。子育て勤務医師の存在は、通常勤務医師の待遇を大きく改善してくれる。

また子育て勤務医師も規定の時間のなかで計画的に診療を進めることができ、それ以外の時間をフルに家庭に振り向けていただくことができる。仕事と家庭をしっかり分けることができて初めて両立が可能になる。そして医師としてのキャリアをつみ、順調に子育て期間は終わったならば、是非、逆に子育てを支援する側に廻っていただければと思う。医師としての経験、母親としての年輪を後輩の指導に役立てていただきたいと念願している。

小さな病院のささやかな制度改革ではあるが、逆に小さい病院だから可能といった面もある。私も大病院の勤務経験が長かったので実感することだが、大病院での実現には障害が多い制度であろう。今回は、通常勤務の医師の完全な合意と理解のもと、行政の柔軟な対応の結果できた制度である。多くの方々に、この女性医師の育児支援と地域医療の再生を目指した試みを知っていただき、利用していただければと願っている。

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子育て中などの医師に対する支援は、先に紹介しました県立河北病院の短時間勤務の募集も始まっており、県内各病院にもっともっと広がっていきますよう、願っております。