「山形女性医師ネットワーク」のお知らせ

日本循環器学会シンポジウム「女性医師の雇用問題を探る」より

2007年3月15日(木)~17日(土)に神戸国際会議場等で開催された第71回日本循環器学会学術集会のシンポジウムの一つとして「女性医師の雇用問題を探る」が取り上げられましたので紹介します。

シンポジウム9「女性医師の雇用問題を探る」
座長: 鄭  忠和(鹿児島大学循環・呼吸・代謝病態学)
    瀧原 圭子(大阪大学保健センター)

演者: 天野 惠子 (千葉県衛生研究所)
    松田 昌子 (山口大学保健学科専攻病態検査学講座)
    吉田 和代 (佐賀大学循環器内科)
    谷口 智子 (大阪国税局診療所)
    山崎 麻美 (大阪医療センター脳神経外科部長)
    和泉  徹 (北里大学循環器内科学教授)

座長のことば

厚生労働省が2005年11月に発表した医師統計要覧によると、20代および30代の医師に占める女性医師の割合はそれぞれ35。5%、22。1%まで増加している。しかしながら、年齢階級・性別による医療施設に従事する医師統計によると、医師総数としては 3 %の増加が認められるにもかかわらず、20代および30代の医師数は 2 年前の調査に比べ減少している事が明らかとなっている。このことは20代および30代の医師のうち、増加したはずの女性医師が実際には就労していないことを反映している。循環器疾患は緊急性が高い症例が多いだけでなく、昼夜を問わず intensive care を必要とする重症例が存在すること、また診断技術としてのカテーテル検査の習得等、女性医師にとって専門性を継続することが困難となる要因が多く存在する。また、この年代は多くの女性医師が結婚・出産を経験する年代である。このような状況にもかかわらず、日本循環器学会の20代および30代の会員に占める女性医師の割合は22%および17%であり、医師総数における比率と比較しても決して少なくない。
本シンポジウムでは、女性医師が循環器医として臨床および研究を継続していくためには、今後どのような取り組みが必要であるのか、当事者および雇用者の立場から幅広く検討したい。すでに積極的に対策が講じられ成功している施設や、女性医師の就労問題に取り組んで実績を上げている他の領域の方にもご参加いただき、多面的に議論したい。



天野惠子氏は、日本循環器学会専門医を対象に、勤務状況・生活状況、仕事・生活への意識などのアンケートを実施し、男性・女性、勤務医・開業医に分けて分析した。循環器専門医は男女を問わず過重労働で、特に男性勤務医がもっとも過重であり、また、男性医師は仕事のため家庭を犠牲にし、女性は家庭のため仕事を制限せざるを得ない傾向が見られた。女性医師が仕事をしやすい環境を作ることは、男性医師を含めた医師全体の過重労働の解消につながるとした。

松田昌子氏は、循環器医師における女性の割合は9%で医師全体の17%と比べて少なく、欧米に比べてもまだ少ないことを示し、アメリカやイギリスで女性の循環器医師を増やすために行われている方策を紹介した。日本の現況と問題点を踏まえ、日本の女性循環器医師を増やす方策として、循環器医療は急性期医療・慢性期医療・予防医学など幅広い分野があり、多様な働き方が可能であること、循環器の中でもNon-invasive cardiologyなど継続しやすい分野があること、をアピールすることと、よいmentorを増やすこと、を提唱した。

吉田和代氏は、佐賀県医師会員を対象としたアンケートを行い、女性医師の抱える問題は、出産育児に限らず、過労による健康の不安や、専門医としての将来の不安なども大きな問題であることを発表した。医師不足など、地方での問題点も浮き彫りにした。

谷口智子氏は、自らを含め国税庁健康管理医は全国で29人中10人が女性であること、職場の制度としては育児休業もあるが、交代医師がいないなどで、その制度を利用することが困難であるという、医師1人多くて2人の小規模診療所特有の問題点を発表した。臨時雇用の交代医師を探すことができる「人材バンク」の制度が求められるとした。

山崎麻美氏は、大阪医療センターが行っている、就労形態の柔軟化(変則勤務の導入・交代性勤務・専門職非常勤パート・ワークシェアリングなど)と再就職女性医師の再教育プログラムを紹介し、就労形態の柔軟化は男性医師にとっても勤務が楽で好評であり、それにはチーム医療の体制が必要であるとし、病院経営側の理解・意識改革が必要であることを示した。

和泉徹氏は、自らを含め循環器学会の理事が自分の教室で行っている女性医師に対する対策のランキングを発表し、大学教授や病院管理者などが女性医師対策に積極的具体的に取り組む必要性を強調された。


以前、このHPでも、日本脳神経外科学会総会のパネルディスカッション「女性神経外科医を眠らせないで」を紹介しましたが、各学会で、女性医師の雇用環境などを考える取り組みがすすんでいるのは大変嬉しいことです。

会員の皆様で、各学会の取り組みをさらにご存知であれば、事務局(yamajoseiishinet@yahoo.co.jp)まで御一報下さい。