「山形女性医師ネットワーク」のお知らせ

「第16回山形女性医師ネットワーク:医学生・研修医との集い」を開催しました

 先に御案内いたしましたとおり、1月23日(木)17:30~19:00に、「第16回山形女性医師ネットワーク:医学生・研修医との集い」を、山形大学医学部内の山形医学交流会館>にて開催しました。今回の集いは、「平成25年度山形県委託事業 女性医師サポート事業」のうち「女性医師と女子医学生等のつどい」事業にて開催いたしました。また、昨年度と同様に山形大学医学部から御後援をいただきました。今回からは、医師を目指す高校生の皆様の参加も呼びかけいたしました。参加者は、講演演者の医師3名(女性2名、男性1名)、山形大医学部医学科の1年から2年の女子学生4名、高校生1名(女性)、会員外女性医師2名、会員女性医師5名、山形県健康福祉部から5名、その他1名の、計21名でした。

 「山形女性医師ネットワーク」では、「山形女性医師ネットワーク:医学生・研修医との集い」として、2006年より毎年冬に講演会(2006年3月2007年3月2010年3月2011年1月2012年1月2013年1月)を、さらに、2008年3月2009年3月には拡大講演会として「山形女性医師ネットワーク:医学生・研修医との集い」-シンポジウム「女性医師が仕事を続けるためにⅠ・Ⅱ」を開催してきました。また、2007年からは「医学生・研修医との集い」のサマーバージョンとして、毎年7月に2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年と、気軽な茶和会形式の「サマーパーティー」を開催してきました。

 昨年度の2013年1月には、山形大学医学部の学生・研修医の皆様が参加しやすいように、初めて山形大学医学部内の山形医学交流会館を会場とし、「女性医師に限らず、すべての医師の勤務環境やワークライフバランスについて」をテーマに講演会を開催しました。

 今回は、昨年度に引き続き山形大学医学部内の山形医学交流会館で講演会を開催いたしました。県内病院に勤務する女性医師2人から、専攻科目をいかにして選んだかなどキャリア形成についての体験談をお話しいただきました。また、昨年度の講演会で、医師である妻との子育て中のワークライフバランスについての講演が好評だった男性医師から、その後のワークライフバランス実践のお話もいただきました。

 御来賓の山形県健康福祉部長 大泉享子様より御祝辞をいただいたあと、呼吸器内科勤務の女性医師から、「私が呼吸器内科を選んだ理由」と題して講演をいただきました。医師を目指していた時に出会った本、山崎章郎(やまざきふみお)著「病院で死ぬということ」がきっかけで、終末期医療に興味をもったそうです。この本は、まだ、インフォームドコンセントが一般化していない時代、末期がん患者に告知をすることで、よりよい最期を迎えられるようにすることを伝えていて、後に映画化、続編も発刊されました。そして、「終末期医療にもかかわれる分野がいい」「聴診器を使うお医者さんがいい」「産婦人科にも大変興味があったけれど、でも、手術はしたいと思いませんでした」とのことで、呼吸器内科を選んだそうです。医局の雰囲気が、フレンドリーに誘ってくれて、のりがいい医局だったことも、選択を後押ししたとのことでした。
 卒業後は大学医局に入局し、卒後1年目の終わりの3月に医師である夫と結婚、3年目に一般病院勤務しながら社会人大学院生となり、4年目に出産、出産2年で大学院復学、卒後8年で大学院修了し、学位を取得。以後は呼吸器内科医として勤務、呼吸器内科中でも、専門分野としてがん薬物療法を研究・実践し、現在は「がん薬物療法専門医」の資格を取得されたとのことです。
 専門分野選択のキーワードは「好きこそ物の上手なれ」、すなわち、自分の好きなことは、いろいろ熱心に工夫をするのでますます上手になるということで、忙しいのは当たり前、でも、好きだから面白い、と思えるとのことです。好きでなければ続かないし、若いうち(体力があるうち)の忙しい経験は、必ず後から生きてくる、といえます。「専門科の中でも専門領域を持つことで、フルに働けなくても役割を得ることができる」ということが、家事や育児で仕事の時間が限られる状況でも自信を持って働くことができるポイントであるとお話しされました。最後に、「計画も大事、でも、考えすぎないことも大事。その時できることを選びながら、無理を続けない。」と若い医師・学生へアドバイスをいただきました。

 次に内科(糖代謝内分泌内科)勤務の女性医師から、「私らしさを生かした医師を目指して -あなただからできることって何ですか?-」と題して講演をいただきました。大学時代、人間全体を診ることができる「内科」に興味はあるが、大学の医局のどの分野と限定することが難しい・・・。「自分が興味を持って取り込むことができ、かつ、女性であることを活かせる分野はないだろうか?」と考えていたとき、産婦人科の講義で「女性内科」という考え方と出会い、「女性内科・女性内分泌」をやりたい!という意思が固まったそうです。研修に際しては、「産婦人科」に入局し、産婦人科研修医として研修を行うよりも、「女性の内科」、「女性の内分泌」に携わるには「内科医」としての基本が、大切なのではないか?と考えて、内科研修医として、県内の総合病院で初期研修を開始しました。(当時は、現在の臨床研修制度とは違って、各大学・病院で独自の研修プログラムを作成していて、大学医局では入局すると専門科目のストレート研修か、関連科とのローテーション研修が一般的で、一般総合病院では科内の各分野のローテーションや数科のローテーション研修などが行われていました。)初期研修では、内科各分野・産婦人科・麻酔科をローテーションし、一般的な内科研修をしながら、「女性内科」の観点でも考えたそうです。特に、循環器内科での3ヶ月間の研修では、指導医の専門である「二次性高血圧」の症例を多く経験し、最も興味を持ったことから、初期研修終了後は、「内科」の観点から「女性内科・女性内分泌」を診ることのできる医師を目指そう!と決意したそうです。
 出身大学以外の大学院医学系研究科 腎・高血圧・内分泌学分野に入学し、二次性高血圧の臨床を経験した後、病理診断部で、副腎病理について勉強し、さらに神経内分泌分野で「性差医学」の観点から「不安情動形成とストレス応答における青斑核の役割と性差の影響-モデルマウスを用いた新たな神経細胞ターゲッティング法による検討」の研究を行って卒後7年で学位を取得されました。卒後8年目からは初期研修を行った総合病院でスタッフとして勤務されています。現在の専門分野は、高血圧、特に二次性高血圧、副腎腫瘍、内分泌疾患、性差医学、女性内科、女性内分泌、漢方医学とのことです。
 ふり返ってみると、研修医時代から現在まで、ずっと多忙な日々で、困難の連続。しかしそれはまた、自分の夢・目標に向かって進む充実した毎日でもあった。恩師や患者さん、様々な方との出会いの中で学び、みんなに支えられたからこそ、今まで頑張ってくることができた。それぞのステージで、「自分が目指すことは何なのか?」と悩みながら、少しずつ前進してきた、とのことで、「人生でも、研究でも、様々な経験を積んだ 今だからこそ、私らしさを活かした医師を目指したい!」とまとめられました。そして、後輩たちへのメッセージとして、「どのような道を選んでも、医師としての人生は困難の連続です。その一方で、様々な出会いや経験を通して学び、自分で自分の道を切り開くことができる、幸せな仕事だと思います。選択肢に限りはありません。悩みながら、「あなたらしい」医師を目指してください。」と結ばれました。

 最後に、山形大学医学部の第一内科勤務の医師8年目の男性医師から、「理想のワークライフバランスを目指して・・・その後」と題して講演をいただきました。妻は2年下の他科の医師で、現在結婚4年目、一昨年8月に子供が生まれ、妻は出産2か月前の一昨年6月に産休に入った後は休職していましたが、今年度は山形大学の支援制度短時医員)を利用して仕事に復帰し、週3日の日中の勤務を行っており、その日は山形大学医学部の院内保育所を利用(場合によっては延長保育も活用)しているとのことです。さらに来年度は、平日週3日勤務+週末(月1-2回)土日当番を行い、全国学会の発表も予定しているなど、順調に仕事に復帰を進めているとのことです。循環器内科医師である演者の忙しさは昨年とほぼ変わらずですが、朝の子供の着替え・食事や、夜に風呂に入れるなど、昨年よりもより積極的に子育てに関与しているとのことでした。困ることは、子供が病気になった時のことで、山形大学医学部の院内保育所では病児保育を行っていないので、このHPでも昨年紹介した山形市の委託事業として運用されている山形済生病院 病児保育所「おひさまルーム」に登録して何回か利用したとのことです。女性医師を妻に持つ、演者と同年代の子育て中の男性医師(イクメン医師)4人に、子供の数・年齢、育児内容、妻の仕事、共働き子育てで大変なこと/要望を調査したところ、育児は主に食事の世話や風呂などで、4人中3人が山形大学医学部の院内保育所を利用しており、全員が子供が病気になった時の対応が困ると挙げていました。やはり、共働きの医師夫婦には特に病児保育が重要とのことでした。

 女性医師お2人の体験談に共通するところは、自分の好きな・興味ある分野を延ばしていくということで、好きだからこそつらいことがあっても頑張れるというところでした。また、きっかけになった恩師・先輩・本などとの出会いが重要と思われました。また、イクメン医師の頑張っている様子も報告いただいて、大変心強い思いでした。

 今回は、山形女性医師ネットワークの主催としては、2回目の山形大学医学部内での「医学生・研修医との集い」を開催でした。参加の学生さんの数が少なかったのが残念でしたが、高校生の方にも参加いただき、また、内容も大変深いお話をいただけて良かったと思います。

 今後も、このような集いを年に一回は開催していきたいと思っております。御参加の皆様、本当にありがとうございました。