「山形女性医師ネットワーク」のお知らせ

山形県医師会主催「平成24年度医師会活動を考えるシンポジウム(医学生、研修医をサポートするための会)」が開催されました

 2月9日(土)15時~17時に、山形市松栄の山形県産業創造支援センター 多目的ホールで、山形県医師会主催「平成24年度医師会活動を考えるシンポジウム(医学生、研修医をサポートするための会)」「女性医師支援への取り組みと現状について ~行政、病院、医師会の連携のあり方」をテーマとして開催されました。これは、山形県医師会主催「女性医師をサポートするためのシンポジウム」として、平成19年度は2008年2月に、平成20年度は2008年11月、平成21年度は2010年1月(テーマ「子育てのための勤務体制と保育」)、平成22年度は2011年2月(「志田周子先生 生誕100周年記念特集」)に開催され、平成23年度は2011年11月「女子医学生・女性医師をサポートするためのシンポジウム」として開催されていたものですが、今年度は、タイトルが「医学生、研修医をサポートするための会」となっていて、女性医師・医学生の支援にとどまらず、男女すべての医師の支援を目指すというトレンドが反映されていると思われます。

 シンポジウムは、まず、基調講演として、宮城県医師会常任理事の高橋克子先生が「日本医師会女性医師支援事業と宮城県女性医師支援センターの活動」を講演されました。高橋克子先生は、宮城県女性医師支援センター副センター長、日本医師会女性医師支援委員、東日本コーディネーターをされています。
 日本医師会では、2005年に男女共同参画委員会が発足し、2005年7月の第1回以降、毎年男女共同参画フォーラムを開催しています。(詳細は日本医師会HP 女性医師の項参照。当HPでも第2回男女共同参画フォーラム第3回男女共同参画フォーラム第7回男女共同参画フォーラムへの参加記録を掲載しています。)また、2006年度からは、各都道府県医師会での「女子医学生・研修医等をサポートするための会」「女性医師の勤務環境の整備に関する病院長・病院開設者・管理者等への講習会」開催補助を行っています。さらに、2007年1月に日本医師会女性医師バンクを開設し、2009年からは日本医師会女性医師支援センターとして女性医師支援の各事業を推進・運営しているとのことです。2012年5月に創刊された日本医師会発刊の、医学生のための無料情報誌「ドクタラーゼ」(年4回発行)にも女性医師のページの企画執筆を担当しているとのことです。
 宮城県医師会では、日本医師会との共催で2008年より毎年女性医師支援セミナーを開催、2010年からは女子医学生・研修医向けセミナーも開催し、2011年からは仙台市以外での基幹病院でのセミナーも開催されています。2012年4月には宮城県女性医師支援センターが、地域医療再生基金で開設され、ホームページ開設・広報・保育情報・相談窓口事業・再就業支援(東北大学医学部と連携)などの活動を行っていることを紹介されました。

 そのあとのシンポジウムでは、山形県内の演者4人がそれぞれの立場からの現況と問題点の発表がありました。山形県健康福祉部地域医療対策課長 船田孝夫氏は、「山形県の女性医師の現状と県の支援策について」と題して、山形県でも20代・30代の女性医師の割合は、32.7%・26.8%と全国の割合と同様に多くなっており、20代・30代で県内女性医師の約半数(220人/417人)を占めていること、昨年山形大学医学部地域医療システム講座で実施した県内病院勤務医勤務実態調査では、短時間常勤医・非常勤医(週40時間未満)の医師31名(男性18名、女性13名)では、女性は30代が約半数で育児のためが多く、男性は60代以上が6割で定年後も病院からの要請で勤務しているケースが多いのとは対照的であることが紹介されました。山形県としては、山形県医師会「女性医師をサポートするためのシンポジウム」、山形女性医師ネットワーク「医学生・研修医との集い」(委託事業)、山形県ドクターバンク(子育て・介護情報相談窓口を含む)、病院内保育所の整備・運営に対する支援を行っており、また、山形大学医学部と連携した「山形方式・医師生涯サポートプログラム」で医師修学資金の貸与、「リフレッシュ医学教育」など復職支援も行っていることが紹介されました。

 山形大学医学部眼科講師の望月典子先生は「女性医師支援ー山形大学眼科医局の取り組み」と題して、現在男性9人・女性9人(内2人産休中)という女性の多い科内での支援策を紹介されました。妊娠24週からは当直を免除し、育児休業は個人の希望に合わせて最長3年まで、復帰後は早朝・夜のカンファレンス免除、当直免除、病棟診療は2人体制としていること、サポートする男性医師・子育て中でない女性医師へも配慮し、医局全体として3週間の夏休み・学会は可能な限り希望通り出席可・救急当直明けは午前中代休を行っているとのことです。

 公立置賜総合病院 副院長 久保田洋子先生は、「公立置賜総合病院 女性医師支援の現状」として、泌尿器科医であるご自身のことも含めてご発表されました。公立置賜総合病院は置賜地区の救急医療の拠点として患者数も多い病院で、多くの科は複数の医師が赴任しており、女性医師の多くは医師数が複数の科に配属されていること、子育て中の女性医師のほとんどは当直免除など何らかの支援策を受けてきたが、その支援は他の医師がカバーしており、医師全体の業務量軽減などの対策がないと現実にはなかなか難しい面もあるとのことです。公立置賜総合病院の地元の医師会では、交代で22時まで救急外来への診療支援を行っており、当直免除の女性医師の科をカバーしていただいたこともあり大変感謝しているとのお話でした。

 済生会山形済生病院 副院長 金杉浩先生は、「日本産婦人科医会アンケート調査から見えること」と題して、ご自分の専門科である産婦人科では、20代の産婦人科医の約70%が女性であり、今後勤務医の女性医師が開業医にシフトし、そのかなりの割合が分娩を取り扱わなくなり、病院勤務の産科医全体数が激減することが危惧されることなどをご発表いただきました。また、済生会山形済生病院では、2010年4月から院内保育所を開設し、2011年6月からは山形市の委託事業として病児保育も行っていることが紹介されました。

 参加者からは、子育て中などの女性医師の支援には、その仕事をカバーする男性医師・子育て中でない女性医師の負担増があるため、その人々の理解と協力は必須であり、円滑に進めるためには医師数全体の増加が必要となり、行政にはより一層の医師増加策を期待するという意見がありました。また、参加した医師会医師からは、女性医師に限らず病院勤務医は過重労働であり、地元医師会として可能なことをさらに協力していきたいという発言もありました。町立高畠病院では、2007年から週30時間勤務の医師子育て支援制度が行われており、3名の女性医師が勤務されていることも紹介されました。参加者は30数名で、医師会役員・病院関係者・女性医師・行政担当者などで、医学部学生も数名参加がありました。

 山形女性医師ネットワークでは、2006年3月から「女子医学生・研修医との集い」(2008年3月から「医学生・研修医との集い」に改名)を開催し、医学生・研修医との交流・情報交換を行ってまいりました。今回の医師会主催のシンポジウムでは、女性医師支援が定着してきたこと、その一方で医師の過重労働・医療過疎の問題は進行していることなどが浮き彫りになったと感じました。大変意義深いシンポジウムであったと思います。