「山形女性医師ネットワーク」のお知らせ

「第12回山形女性医師ネットワーク:医学生・研修医との集い」を開催しました

 かねてから御案内いたしましたとおり、昨日1月28日17:00から、「第12回山形女性医師ネットワーク:医学生・研修医との集い」を、山形グランドホテルにて開催しました。今回の集いは、「平成23年度山形県委託事業 女性医師サポート事業」のうち「女性医師と女子医学生等のつどい」事業にて、講演会懇親会を開催いたしました。また、日本循環器学会(男女共同参画委員会)の御後援をいただきました。

 山形女性医師ネットワークは、「医学生・研修医との集い」として、2006年より毎年3月に特別講師を招いての講演会(2006年2007年2010年2011年)を開催してきました。2008年・2009年3月の集いでは、「女性医師が仕事を続けるために」「女性医師が仕事を続けるためにⅡ」と題してシンポジウムを開催しました。2010年からは、講演会の開催を3月から1月に移し、医学生の皆様から要望の多かった、現在子育て中の医師の体験を中心としたテーマで開催しています。
 また、2007年からは毎年7月にも気軽なサマーパーティーを開催しています。

 今回は、山形市在住の若手女性医師から、チーム主治医制で入院患者を持ちながら子育てを両立させている体験と、秋田県で循環器専門医として活躍している女性医師から、若手女性医師を指導・支援している体験を御講演いただきました。参加者は、特別講演の秋田県横手市の女性医師、山形大医学部医学科の1年から4年の学生3名(女性2名、男性1名)、山形県内病院勤務の女性医師1名、会員女性医師9名の他に、山形県健康福祉部、子育て推進部 青少年・男女共同参画課、病院事業局、最上総合支庁 保健企画課、県立中央病院総務部等から11名の、計25名でした。

 御来賓の山形県健康福祉部次長 大泉享子様より御祝辞をいただいたあと、当ネットワークの会員でもある山形市在住の若手女性医師が、「女性医師としての実践 ~チーム主治医制の話題を中心に~」と題して、妊娠・出産・子育てと医師の仕事の両立の状況についての自身の体験を講演しました。子育てをしながら医師をするということは、独身時代のように24時間仕事に対応するのは困難。すなわち、子供が小さいうちは、子供は一人で生きられず、子育ての時間が絶対的に必要であり、帰宅後呼び出されても、自分しかいなければ子供を連れて病院にいくのも困難。また、子供が熱を出したり具合が悪い時、保育園は38度以上熱が出た場合はどんなに元気でも預かってくれず、普段の子供状態を一番知っているのも自分、子供が一番頼りたいのも自分であるため、仕事を休まざるを得ない時がある。一方、患者さんのために、家庭を犠牲にせざるを得ない時もある。と、仕事と家庭の両立の難しさを具体的に話しました。
 「1人主治医制」では、患者さんの把握は自分一人で、24時間自分が担当し、治療方針決定は基本的に自分であるのに対し、「チーム主治医制」では、患者さんの把握は複数医師で、自分が対応できない時間帯は他の医師に対応をお願いできる、複数の目が入ることでミスを防げる、相談しながら治療できるという利点がある一方、受け持ち患者総数は多くなる。とまとめました。そして、自分が一生懸命考え、治療にあたっている患者さんの急変時に対応できなかったり、お看取りに立ち会えないことは大きなストレスになってしまうこと、男性の医師・女性独身の医師に負担をかけてしまっていることは本当に心苦しいこと、しかしその分、日中自分が対応できることは精一杯頑張り、他の医師に感謝の気持ちを表現していることを、生き生きと話されました。
 また、家庭では、自分や家族の体調が優先なので家事は後回しになることもあり、食材配達・掃除サービスを利用したり、夫も仕事で忙しいため、両親に手伝ってもらって大変感謝していること。やっぱり子育ては一人ではできず、仕事をしていればなおさら難しく、夫や周囲の協力があっての子育てであるので、「家庭もチーム!」と話されました。
 職場復帰しての感想は、職場の理解無しでは医師の仕事は続けていけず、上司に子育ての経験があり理解があるのが望ましいこと、医師に限らず、男性も子育てに参加できる社会、両親のサポートがない女性医師も生き生きと働ける環境が広がっていくことが望まれる。チーム主治医制は子育てをしながら仕事を続けていく上ではとてもありがたい制度で、女性医師に限らず、男性医師にとってもメリットが大きい。しかし導入にはマンパワーが必要であり、医師事務補助員数や医師総数の増加などの環境整備も進めて欲しい、と述べました。
 最後に、医学生や若い医師に向けて、「全部完璧には絶対できない。その時その時で、どちらかに重心がかかるもの。その時は周囲に状況を話し、協力をお願いする。」「職場の上司・同僚、親、夫、友達なと、周囲の人への感謝の気持ちを忘れない。大事なのは、言葉で伝えること。」「周囲の理解・協力があって、わたしもなんとかやれています。一緒に、ママと妻と医師をエンジョイしましょう!!」と結ばれました。

 続いて、秋田県横手市病院で循環器科長兼リハビリテーション科長として勤務している女性医師から、「若手医師を育てる」と題して講演をいただきました。秋田大学医学部を卒業後、循環器内科に入局し、2年後に先輩の脳外科医と結婚後、5人のお子様を育てながら、産休中に内科認定医、循環器専門医、超音波専門医などもとられて、臨床・臨床研究・研修医指導などに活躍されてきましたが、そんな先生でも、夫と離れて暮らし、こども2人抱えて、上司と2人の内科勤務の状況で、仕事も子育てもすべて中途半端と感じたときに、仕事をやめたいと思ったことがあったそうです。相談できる同僚、上司、友人がそばにいないことが大変つらかったけれども、小さい病院であったが、そこで症例を集めて地方会などで研究発表をし、その成果が認められて、夫と同じ病院への勤務が実現したとのことです。その経験があったため、後輩には自分の出来るすべての援助をしてあげたい、との思いで、「秋桜会(コスモス会)」という、秋田県女性循環器内科医の会を立ち上げて、年2回勉強会・懇親会を開催されているとのことです。
 また、循環器科医局の後輩の初期研修を修了され出産した女性医師が、産休明けで循環器内科常勤医として1年間勤務され指導された際、保育園に預けてバリバリ働く予定が、しばしば熱を上げる子供に仕事を休まなければならず、ファミリーサポートもお願いしたものの、急な病気で利用できなくなってしまい、近くに親族がいず、外科後期研修医の夫は仕事で忙しく、後輩研修医は日々成長しているような気がして落ち込んでしまった時、どのように後輩女性医師を支援したかをお話されました。まず、やる気、能力のあることを全面的に認め、子供の発熱などで仕事を休まなければならないときは焦らずにしっかり看病するよう話し、自分の存在意義に不安を感じたときは、5年先、10年先の自分を思い描いて、意欲を継続するように励ましたそうです。そして、循環器内科女性医師として長く続けていける、誰にも負けない「セールスポイント」を作るため、心エコー(妊娠、出産に関わらず続けられる)と、心臓リハビリテーション(大学の医局ではまだ誰もやっていない→彼女の学位になる予定)を指導し、学会発表をやってもらい、同じ小さい子供を持つ看護師などコメディカルからの支援も受けられるようにしました。1年間の勤務を終えた女性医師が「子持ちで働くのも悪くない」と言ってくれたことが大変嬉しかったとのことです。
 女性医師が生き生きと仕事をしていくためには、本人の継続する確固たる意欲、パートナー、同僚、上司、後輩、家族など、周囲の理解と支援、高い理想を持ちすぎない・長い目で物事を考える、余裕のある時間・体力、家族の健康、そして何より、自信・自負が大切。女性医師には、医師としての高い理想を持っている・協調性に長けている・患者の立場で物事を考える能力に優れているという、医師に適した特長があり、自信を持って仕事を続けて欲しいと話されました。
 また、医学生や初期研修医に、進路決定のアドバイスとして、「一生の仕事なので、自分の適性も大事だが、好きな分野に決める(やりたいことを諦めない)」、「専門性を持つ(得意な分野で目立つ!)」をお話しされました。
 お2人とも、大変生き生きと仕事されていて、共感と勇気をいただきました。

 また、その後の懇親会では、シャンパン・赤白ワイン・イタリアンのコース料理をいただきながら、和やかな雰囲気の中で、出席者全員が自己紹介の1分間スピーチを行いました。日ごろの悩みや考えていることなどについて、楽しく意見交換・交流ができました。40代・50代の女性医師では、両親など家族の介護の問題も現実の問題になってきていました。

今回は、他のいろいろな行事と重なって医学生の参加が少なかったですが、男子医学生の参加があったことは大変嬉しかったです。今後も、このような集いを年に一回は開催していきたいと思っております。
御参加の皆様、本当にありがとうございました。