「山形女性医師ネットワーク」のお知らせ

秋田市で開催された 日本医師会第7回男女共同参画フォーラムに参加しました

以前に御案内したとおり、7月30日(土)13時~秋田市で、日本医師会第7回男女共同参画フォーラムが、秋田県医師会の担当で開催されました。当ネットワーク会員では、郡市地区医師会理事として1名、一般医師会員として2名、あわせて3名が参加いたしました。

日本医師会主催男女共同参画フォーラムは、2005年7月に日本医師会女性会員懇談会の主催で第1回が開催され、第2回からは日本医師会男女共同参画委員会の主催で年1回開催されてきました。以前このHPで、大阪で開催された第3回男女共同参画フォーラムに参加した報告を掲載しましたが、今年度からは、各県の医師会が運営を担当することになったそうです。

今回は、「育てる~男女共同参画のための意識改革から実践へ~」をメインテーマに、基調講演として内閣府政策統括官(共生社会政策担当)の村木厚子氏をお招きし、日本医師会男女共同参画委員会の活動報告・日本医師会女性医師支援センター事業の報告が行われた後、シンポジウム「育てる~男女共同参画のための意識改革から実践へ~」が開催されました。また、今回の東日本大震災において、被災地では平常時よりも男性主導が強くなり、男女共同参画の視点が欠けていたためさまざまな問題がおきたことを踏まえ、日本医師会男女共同参画委員会から、今後、地域における災害対策計画を立てるに当たり男女共同参画の視点を最優先の課題の1つとすることが日本医師会長に提言され、さらに日本医師会から政府に要望書を出したことが報告されました。そして提言「災害と男女共同参画」として、フォーラム参加の一人一人が、地域社会、行政等に働きかけ続けていくことが提言されました。

村木厚子氏の基調講演「これからの「支え手」を考えるー男女共同参画と子ども・子育て支援ー」は、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)/内閣府自殺対策推進室長/内閣官房内閣官房副長官補付内閣審議官/待機児童ゼロ特命チーム事務局長としてのお立場から、子ども・子育てをめぐる現状についてと、男女共同参画についてのお話をいただきました。出生率の年次推移では、急速に少子化が進行しており、とくに第2次世界大戦後の第1次ベビーブーム、その子どもの世代の第2次ベビーブームに続く、孫の世代の「第3次ベビーブーム」が消滅している現状は深刻であり、子どもを産む母親が少なくなってきている危機的な状況であること。若年者の非正規雇用率の高さ・年収の低さが結婚の障害となっていること。日本では、女性の30代-40代前半の就業率が他の年代に比べて低下している「M字カーブ現象」が見られるが、他の先進国では認められず、国際的には女性の就業率が高いほど、出生率も高い傾向が認められること。日本では子育て世代の男性の長時間労働が顕著で、子育ての障害の1つとなっていること。働き方の改革と、子育て支援の社会的基盤整備を車の両輪として進めて行く、と話されました。
また、御自身の子育てをしながら仕事を続けてきた体験から、先輩の女性たちが、どのような方策で仕事と子育てを両立させているかをまとめた冊子を作って渡してくれたことが大変役に立ち、支えとなったこと、そして、子育ては毎日が想定外の出来事の連続であり、その「危機管理」の経験が、今回の『検察との戦い』で大変役に立ったと語られたのが、大変印象的でした。

シンポジウム「育てる~男女共同参画のための意識改革から実践へ~」では、まず、医学生を育てる立場から、秋田大学医学部総合地域医療推進学講座 助教 蓮沼直子医師が、全国で初めて必修カリキュラムとして、平成22年度から3年生に行っている女性医師支援総論・事例ベースの問題解決を討論するグループワーク・さまざまなロールモデルとして数人の男女先輩医師のシンポジウムから構成される1日間の講義など、秋田大学の取り組みを紹介し、昨年その講義を受けた秋田大学医学部4年生の女子学生からは、講義を受けた男女医学生の感想のアンケート調査の結果が発表されました。秋田大学医学部では、今年度からは1年生に男女共同参画・キャリア形成に関する講義も開始され、また、希望者に対しては、5年生には初期研修センターとして、女子学生と先輩女性医師が語るキャリアパス相談会(通称ランチ会)を実施し、6年生には蓮沼先生が個人的に開催する、出産にかかわる法律・制度の勉強会を行っているそうです。大変すばらしい取り組みだと感じました。
日本医師会では、昨年7月に文部科学省に対して、医学部教育カリキュラムに、男女共同参画やワークライフバランスについての講義を取り入れるように要望書を出し、その結果、医学部教育モデル・コア・カリキュラム(平成22年度改定版)には、「医師として求められる基本的な資質」に『(自己研鑽) 男女を問わずキャリアを継続させて、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する。』が追加され、「生涯学習への準備」の一般目標が『医学・医療・科学技術の進歩と社会の変化(経済的側面を含む)やワーク・ライフ・バランスに留意して、医師としてのキャリアを継続させる生涯学習者としての能力(知識、技能、態度・行動)を身につける。」と修正されたとのことです。また山形女性医師ネットワークも、山形大学医学部へ同様の要望書を提出していますが、ぜひ、秋田大学の講義のような取り組みが全国に広がるよう願っております。

次いで、若手医師を育てる立場から、平鹿総合病院循環器内科科長 伏見悦子医師が、後輩の子育て中の若手女性医師を支援した経験を話され、専門医を育てる立場から、藤田保健衛生大学医学部脳神経外科教授/藤田保健衛生大学病院救命救急センター長 加藤庸子医師が、キャリアアップ支援システムについて発表され、離職しないこと・キャリア形成を諦めないこと、自分自身に付加価値をつけること、しかしtoo muchは健全な心をスポイルするのでバランスが大事であることなどを話されました。また、ターニングポイントにある医師を育てる立場から、東京女子医科大学附属女性生涯健康センター教授/副所長 檜垣祐子医師が、東京女子医大が行っている勤務継続支援のファミリーサポート活動や、再研修システムとしての臨床研修や教育・学習支援プログラム「e-ラーニング」の紹介をされました。最後に意思決定部門・方針決定部門へ参加していく医師を育てる立場から、日本医師会副会長 羽根田俊医師が、日本医師会会員165,746人のうち女性会員は14.5%なのに対し、執行部30人中、女性は1人だけ(3.3%)、代議員357人中、女性は8人(2.2%)である現況を報告し、指導的地位に女性が占める割合を増やすために行っている取り組み、「女性1割運動」(2010年度までに、委員会委員に女性を最低1名登用、女性1割に。2014年度までに、理事・監事に女性を最低1名、常任理事に女性を最低1名登用、役員の女性の割合を1割に。)を紹介しました。

その後、総合討論が行われ、会場から、秋田大学医学部の女性医師支援・グループワーク・ロールモデルのシンポジウムの必修カリキュラムを実現できた過程について、また受講した学生のその後の変化についてなどの質問が出ました。一方、医師の男女共同参画の推進には、日本の伝統的な男女の役割意識の改革が必要であり、現実には「革命」ほど難しいこと、との指摘もありました。また、約290名の参加者の多くは、各県医師会の役員が主体でしたが、秋田県からは秋田大学医学部の医学生5名(うち男子学生1名)、岩手県からは岩手医科大学の女子医学生5名も参加しており、秋田大学の女子医学生の1人からは、もし途中で離職するような場合は、復帰しやすいように何か準備しておくことはないか、との質問が出ましたが、秋田大学の蓮沼医師が、「離職する場合は突然の出来事で準備もできないケースのほうが多いが、復職に当たっては、医師として一所懸命に治療に当たった経験が一番の支えになると思う」と回答がありました。

最後に、第7回男女共同参画フォーラム宣言として、「女性医師が仕事を継続し能力を十分に発揮していくためには、多様な勤務形態を可能とする環境を実現するとともに、女性医師自らが社会に貢献していくという自信と誇りを持ち続けなければならない」ことを主旨とした宣言を採択しました。

来年は、7月に富山市で、第8回男女共同参画フォーラムが開催されるそうです。どのように発展していくのか、大変楽しみです。