「山形女性医師ネットワーク」のお知らせ

第6回山形女性医師ネットワーク:医学生・研修医との集い -シンポジウム「女性医師が仕事を続けるためにⅡ」を開催いたしました

3月14日15:00から、このお知らせでも案内いたしました「第6回山形女性医師ネットワーク:医学生・研修医との集い」-シンポジウム「女性医師が仕事を続けるためにⅡ」を、山形グランドホテルにて開催しましたので、御報告申し上げます。今回のシンポジウムは、「平成20年度山形県委託事業 女性医師サポート事業」のうち「女性医師と女子医学生等のつどい」事業にて開催いたしました。
出席者は31名で、御来賓の山形県知事吉村美栄子様、山形大医学部医学科の1年から5年の学生8名(女性)、会員医師10名、研修医1名、会員以外の女性医師5名(シンポジスト2名含む)、山形県健康福祉部より2名、その他4名が参加しました。懇親会は22名+会員のお子様1名が参加しました。

シンポジウムでは、御来賓の吉村美栄子山形県知事から、山形県内の女性医師へのサポート事業を、県としてさらに推進していくという御祝辞をいただいたあと、5人のシンポジストからの発表がありました。

まず、2008年山形大学医学部学生主催講演会実行委員長の山形大学医学部医学科4年生(女性)からは、「女性医師として生きるために・学生の視点から」と題して、2008年10月の講演会の内容と出席した学生の感想が紹介されました。講演会では、当ネットワーク会員である、女性クリニックを開業する女性医師から「あれもこれも、欲張りなあなたに産婦人科がおすすめ!」、山形大学医学部麻酔科川前金幸教授から「医師を続けていくということ」、山形大学医学部泌尿器科冨田善彦教授から「女性医師のワーク・ライフバランスについて ~医学生アンケート調査結果と個人的意見~」の3つの講演が行われました。ことに、富田教授が発表された医学部学生5年生対象の結婚観・結婚後の生活についてのアンケート結果で、結婚に対して男女医学生の間でかなりの意識の違いがあること、とくに家事について女子医学生では夫婦で分担し合うと考えているのに対し、男子医学生では配偶者に多くをやってもらいたいと思っていることが、参加女子医学生に非常に印象強かったことが紹介されました。参加者の感想では、先輩女性医師の話が聞けていろいろな心配がだいぶ解消した、教授のお二人から、夫としての立場の話が聞けたのが興味深かった、などがあったとのことです。今後も、学生講演会は、下の学年に申し送って続けて行きたいと結ばれました。

次に、山形女性医師ネットワーク会員から、「女性が心臓外科医として生きるということ -小児心臓外科医としての研修経験、子育て・看病についての体験ー」と題して、自身の経験を発表いただきました。数ヶ所の病院で研修しながら、そのときの状況に合わせて、託児所+ベビーシッター、勤務した病院の24時間保育所、子供を実家に預けて単身赴任と、いろいろ変えながら仕事を続たこと、その後山形で一家揃っての生活を開始した矢先、お子様の病気で、特別休暇(家族看病休暇)・介護休暇・時間介護休暇などの制度をいろいろ使って看病と仕事を両立させてきたことを紹介いただきました。24時間保育と言うことで赴任した会津の病院の院内保育所は、それまではコメディカルの子が主な対象で、心臓外科医の勤務をカバーし切れない体制であったこと、でも粘り強く交渉して、時間や持参の御弁当などいろいろ改善してもらい、後任の女性医師へよりよい条件でバトンタッチできたことが印象的でした。また、いろいろな制度を活用するためには、総務課や医局事務の担当者との連絡をマメにとって助けていただくことが重要だと話されました。

宮城女医会会員の勤務医師からは、「こどもが病気になったらどうしよう -病児保育施設開設の取り組み-」と題して、御自身が外科医として研修・研究・勤務を続けながら、東北大学医学部教室員会の事業として、全国に先駆けて院内病児保育施設を平成13年(2001年)2月に立ちあげたことを報告されました。
東北大学医学部教室員会とは、東北大学医学部および病院に在籍する教官(教授を除く)・医員・研修医・大学院生・大学院研究生および技官により構成される1000名ほどの団体で、教育・研究・診療の質の向上のための活動や福利厚生のための活動を行っているそうです。
病児保育とは、子供が病気で登園登校できない場合、子供の看護を任せることができる人がいないため仕事を休まざるを得ない保護者に代わって、子供を看護・保育する施設です。仙台市内に診療所併設型などの病時保育施設が開設されてはいたものの、いずれも東北大学医学部のある星陵地区から遠く、教室員が利用しにくく、院内に開設して欲しいとの要望があったそうです。
開設された院内病児保育施設は、東北大学病院外来棟5階にあり、利用時間は月曜~金曜の7:30~18:00(夏休み、年末・年始を除く)で、利用対象者は保護者が星陵地区に勤務あるいは通学する病児(6カ月児から小学3年生まで)で1日4名まで保育可能です。スタッフは、看護師1名(7:30~16:00)と保育士1名(10:00~18:30) で、必要に応じて保育補助アルバイトを雇いました。料金は、登録料(7,000円/年・あとで撤廃)、利用料(3,000円/日)でした。年間開設日約240日で一日平均1名の利用者があり、保護者の内訳は東北大学医学部・付属病院・加齢研・歯学部・薬学部・医療短大の医師・研修医・コメディカル・研究補助員・大学院生・研究生など広く利用されています。施設の運営は、教室員会会長を委員長とする「病児保育施設運営委員会」で行われてきましたが、病院への要望が通り、平成18年(2006年)4月に病院に管理を移管し、さらに、平成18年11月に「杜の都女性科学者ハードリング支援事業」の一環として、利用者対象者を星稜地区から全学に開放したとのことです。平成19年度の利用状況は、年間開設245日、年間延べ利用者300名、1日平均1.24名と増加しているようです。
また、御自身の経歴についても、医学部を卒業、27歳で外科初期研修を終了され、29歳で大学院に入学、病理学を学びながら、30歳結婚、31歳で出産。35歳で学位取得、その後、外科から内科へ転向し、宮城県内の町立病院に内科医として入職されたことを紹介され、「キャリアプランは途中で変更してもよい。目的を見失わずに勉強することを続ける」のが大事と話されました。
最後に「大切なことは、自分の仕事に自信を持ち、向上心を持って勉強を続けること。頑張りすぎて燃え尽きないように。もっと自信を持ってのびのびと。そしていきいきと幸せに過ごしていこう。」とまとめられたのが印象深かったです。

また、山形県内病院に勤務する女性泌尿器科医師から「泌尿器科女性医師の会結成から泌尿器科女性医師の現状まで」と題して、日本泌尿器科学会の分科会として、平成18年(2006年)1月23日に発足した「女性泌尿器科医の会」の立ち上げから現況までを紹介していただきました。女性泌尿器科の会は、女性医師から自主的に出てきたものではなく、2005年、医師不足が顕著化し、厚生労働省で、女性医師の動員が計画された時、泌尿器科学会理事長より、指名された女性医師が委員として、活動を命じられたのだそうです。ちなみに2005年は厚生労働省が、年間8100万円の予算を計上し、出産や育児で離職した医師をターゲットに、研修事業を行いましたが、この予算で研修を受けたのは、全国で、兵庫県の女性医師1人だけだったそうです。
「女性泌尿器科医の会」の会則では、目的が、「女性医師の増加及び女性泌尿器科疾患の重要性に伴い、今後、日本泌尿器科学会においても女性会員の活躍が期待される。このような背景より、女性会員の抱える問題点を抽出し、広報および学術委員会等と協力して泌尿器科学会内での啓発活動を進め、女性会員の増加・発展をはかることを目的とする」と述べられています。
従来、泌尿器科は男性疾患を扱う科というイメージが強く、泌尿器科医に占める女性医師の割合はわずか3.5%(約300人/8000人) だそうですが、高齢化に伴い女性患者は増加しており、女性患者の一部には羞恥心から気軽に泌尿器科を受診できず、治療をあきらめたり、他科を受診してしまったりする例もまれではないことを考えると、女性泌尿器科医の増員・育成は急務と言えます。女性泌尿器科医増員に向け、(1)男性疾患を扱う科というイメージの改革、(2)女性医師に対する出産、育児時の協力体制、(3)復職のシステム作りを目指して、活動を続けていくそうです。女性会員相互の親睦と情報交換の目的で、2009年1月に日本泌尿器科学会の女性会員のメーリングリストが開設され、さらに、女性泌尿器科疾患(尿失禁など)の治療マニュアル小冊子を「学生向け冊子」として作成中とのことです。学会の分科会として、いろいろな制約もあるとのことですが、着実に活動を広げて行っていただきたいと思いました。

最後に、山形県健康福祉部健康福祉企画課より、技師(公衆衛生学の男性医師)の方が、このたび山形県が県内病院を対象にアンケート調査中の「県内病院における女性医師への支援状況について」、中間報告がありました。
この調査は、県内69病院を対象に、記名式質問紙票を送付し、①院内保育所の設置状況、②育児休業制度、育児短時間勤務制度の有無、③当直・日直・時間外勤務の免除の有無、④育児休業明けの医師に対する研修制度の有無について今年3月調査しているもので、現在の回答率は65.2%(45/69病院)とのことです。
45病院のうち、院内保育所ありは13病院(27.9%)で、残り32病院は設置なしですが、うち5病院は今後設置予定とのことです。院内保育所の設置されている13病院のうち、保育時間が24時間なのは3施設ですが、うち1施設は日曜祝日は休みでした、また、時間保育を行っている10施設の保育時間は開始はおおむね7時30分~8時30分、終了は18時~19時30分で医師として利用するとすればもう少し時間が長いのが望ましいと思われましが、1施設では6時30分~19時30分の15時間保育を行ってくれていました。
45病院のうち、育児休業の制度があるのは86.7%、勤務時間の短縮などの制度があるのは73.9%、当直・日直・時間外勤務の免除などの制度があるのは51%とのことでしたが、制度があっても実際には利用しづらい・利用できないなどの問題もあると思われます。

発表に引き続き、総合討論が行われました。女性医師として仕事を続けていくためには、出産・育児・介護などで、様々な方の協力が必要であること、いろいろな支援制度を利用する時には、権利を行使するという意識ではなく、周囲の方の協力・行為に感謝する事が大事であると言う意見が出されました。また、保育所や勤務時間短縮の制度は、小学校就学前が対象であり、小学校入学後は学童保育の時間も短く、更なるサポートが欲しいと言う意見も出ました。山形市内には病児保育所があるものの、実際に利用してみると保育時間が16時までで医師としては利用時間が短すぎるとの体験談も出ました。いろいろな制度があっても、実際に利用してみると利用しづらいこともいろいろあるが、利用者として意見をいいながら改善を求めていけば、その後に利用する方の利便性の向上につなげていけると思われます。一人一人の女性医師が、みんなのためにもできることを積み重ねていければと考えました。

その後の懇親会では、シャンパン・赤白ワイン・イタリアン料理をいただきながら、和やかな雰囲気で、出席学生全員が自己紹介と、学生さんからは将来の悩みや不安・抱負などを含めて1分間スピーチを行いました。医師が自分の体験談を披露したり、1分を越して延長して話される方も多々あり、楽しく、交流・意見交換ができました。

今後も、このような集いを年に一回は開催していきたいと思っております。
御参加の皆様、本当にありがとうございました。