「山形女性医師ネットワーク」のお知らせ

山形県医師会主催「女性医師をサポートするためのシンポジウム」の報告

先に御案内したとおり、本日11月15日(土)15時30分から、山形市の山形グランドホテルにて、山形県医師会主催の「女性医師をサポートするためのシンポジウム」が開催されました。シンポジストとして、当ネットワーク会長が活動の紹介をしたほか、今年3月の第4回山形女性医師ネットワーク:医学生・研修医との集い-シンポジウム「女性医師が仕事を続けるために」で発表して下さった2007年山形大学医学部学生主催講演会実行委員長(山形大学医学部5年生)も、学生対象のアンケートの結果を発表されました。県内医師約35名の参加があり、約半数は男性医師でその多くが院長など病院管理者の立場の方でした。

初めに、基調講演として、日本医師会常任理事今村定臣先生より、「女性医師の就労支援に対する日本医師会の取り組み」と題して発表がありました。女性医師の数は年々増加しており、平成20年度の医師国家試験合格者に占める女性の割合は34.5%と過去最高になったこと、女性医師の就労率は一般女性労働者よりずっと高いが、子育て世代と思われる30代では約85%と、20代・45歳以降の約95%に比べ約10%落ち込むことが紹介されました。日本医師会では平成10年から「女性会員懇談会」を開催し、平成18年に「男女共同参画委員会」を設置し、男女共同参画フォーラムの開催、保育システム相談員の養成・普及などを行っており、平成19年1月からは、再就業支援のための「女性医師バンク」事業を開始し、平成20年10月末まで103件の就業と10件の再研修紹介が成立したとのことです。さらに、平成18年度から「女子医学生・研修医等をサポートするための会」と、「女性医師の勤務環境の整備に関する病院長、病院開設者・管理者等への講習会」を全国各地で開催していることが紹介されました。

それを受けて、シンポジウムでは、山形大学医学部医学科5年生女子2007年山形大学医学部学生主催講演会実行委員長が、「医学生の意識・望むことー男女医学生のアンケートの結果をもとに」と題して、昨年医学部学生を対象に行ったアンケートの結果を発表しました。今興味がある科・将来専門にしたい科について、興味がある科は男女とも全体的に様々であるが、産婦人科を挙げるのは女子学生に圧倒的に多いこと、しかし、将来専門にしたい科では、家庭との両立を考えて、一般的にハードと思われる科を敬遠する傾向が特に女子に強く見られ、また、男女問わず、訴訟が多いと思われる科(外科、産婦人科など)を敬遠する声が聞かれた、と言うことに大きな反響がありました。

次に、山形県立中央病院小児科 専門研修医の女性医師が、「女性医師として、職場・社会に感謝すること、望むこと。 -結婚・出産・子育て・単身赴任・看病などの経験をとおして-」として、専門医を目指して、子育てをしながらいろいろな病院で研修・勤務したこと、お子さんの病気に際して、育児休業や育児短時間勤務、介護制度など色々な制度を利用して仕事を続けたことなどの体験を発表され、その真摯な努力が深く感銘を呼びました。    
   
さらに、山形女性医師ネットワーク会長が「山形女性医師ネットワークの活動を振り返って」と題して、平成17年6月に設立した山形女性医師ネットワークの活動として、平成17年度から定期的に行っている「医学生・研修医との集い」(平成19年度より山形県委託事業)や、平成18年に実施した山形県内病院の院内保育所調査、平成18年11月に山形県が開設した「山形県ドクターバンク」の開設準備に協力したことなどを紹介しました。

最後に、山形県健康福祉部健康企画課 技師(医師)より「山形県における取り組み(女性医師サポート事業)について」として、山形県の事業である、「山形県ドクターバンク」、「県内子育て・介護情報窓口」(平成20年2月運用開始)、山形女性医師ネットワーク「医学生研修医との集い」が紹介されました。また、これまでは病院内保育所運営費のみが国庫補助金の対象となっていたものが、平成20年度からは、開設のための工事費も補助対象となったことが紹介されました。山形県内の医師数は男性は平成16年は2110人、平成18年が2111人1人のみの増加に対して、女性は321人から341人へと20人増加したこと、そのうち医療に従事する医師数は男性は1990人から1990人と増減0で、女性は293人から310人と17人増加したとのデータは、大変印象的でした。

コメンテーターとして、山形大学医学部循環・呼吸・腎臓内科学分野教授 久保田功先生は「教室運営の立場から」と題して、入局者に対しては男女を問わず個々の能力適性に応じた対応をする方針であること、新臨床研修制度後の入局者ではそれ以前に比して女性の割合が増加したこと、山形大学医学部では通常の医員のほかに、短時間医員というポストがあり、その多くが女性であることなどを紹介されました。

公立学校共済組合東北中央病院長 田中靖久先生は「東北中央病院の実情について」と題して、院内の育児休業・子育て中の女性医師の日当直免除などの制度を紹介し、院長として女性医師の声に耳を傾ける姿勢が大事であると考えていると発言されました。

ディスカッションでは、女性医師の就業状況の実態調査が今後の対策の基本として必要であると言う意見が複数ありました。これに対して、日本医師会今村理事から、今年度中に日本医師会が各病院勤務医を対象に、女性医師の勤務実態調査を行うことが明らかにされましたが、勤務していない・医師会にも入っていない女性医師の実態はなかなかつかみがたく、どうアプローチするかが課題であると言う意見が出ました。また、短時間勤務の制度を定着させるには、行政側の縦割りを超えた対応・調整が必要であるとの意見もありました。保育所については、各病院ごとの設置運営が難しい場合には、医師会で保育所を運営できないかとの意見が出ましたが、山形県医師会長有海躬行先生は医師会で運営するのは現実的に困難であると答えられました。

18時30分より懇親会が開催され、和やかな雰囲気で交流が行われました。大変有意義な会でした。
また、今回のシンポジウムで、山形県医師会の会合としては初めて託児所が開設されました。これは大変画期的なことで、催し物の際の託児所は今後もぜひ継続していただきたいと思います。